ビールのラベルの読み方:ABV・IBU・スタイル名
2026.10.28 / 約6分で読めます 文・監修:矢切ブルワリーABVは「アルコール度数」、IBUは「苦味成分の量」、スタイル名は「そのビールの型」を表す
IBUは苦味の「成分の量」で、感じる苦さそのものではない(麦芽の甘さや保存の状態で変わる)
スタイル名を知ると、度数と苦味のだいたいの見当がつく
クラフトビールのメニューやラベルには、「6.6%」「IBU 60」「Hazy IPA」「セゾン」といった言葉が並びます。はじめてだと、何を見て選べばよいのか迷いますよね。ここでは、ABV、IBU、スタイル名の3つを、順に見ていきます。意味が分かれば、「苦いのが苦手」「軽く一杯だけ」といった希望を、数字と名前で店員さんに伝えやすくなります。言葉の一覧は、BEER 101の用語集にもあります。
1. ラベルで見るのは、この3つ
- ABV(アルコール度数):ビールの体積のうち、アルコールが何%か。
- IBU(苦味の単位):ビールに含まれる、ホップ由来の苦味成分の量。
- スタイル名:そのビールの「型」。IPA、ペールエール、ピルスナー、セゾンなど。
お店によって、載せる項目はまちまちです。YAGIRIYAのON TAPのカードには、スタイル、ALC.(度数)、AGU、価格を載せています。
2. ABV:アルコールの強さ
ABVは、Alcohol By Volume の略で、「体積の何%がアルコールか」を表します。ビールは、4〜5%台のものが多く、クラフトビールには、7%や8%を超える強めのものもあります。
度数が同じでも、飲む量が違えば、体に入るアルコールの量は変わります。そこで、矢切ブルワリーは、度数と量から出した「純アルコール量」を、厚生労働省の目安(約20g)を1としたAGUで表示しています。たとえば、度数6.6%のビールを240ml飲むと、純アルコールは約12.7g、0.6 AGUです。考え方は、AGUの記事にまとめています。
3. IBU:苦味成分の「量」
IBUは、International Bitterness Units の略です。ビールに含まれる、イソα酸(ホップのα酸が、煮沸で変化した苦味成分)の濃さを表し、1 IBUが、およそ1 mg/Lにあたります〔1〕。測るときは、分光光度計で、特定の波長の光の吸収を読みます〔2〕。目安として、1〜100くらいの範囲に収まり、数字が大きいほど、苦味成分が多いビールです〔1〕。
ただし、IBUは「感じる苦さ」とは別のものです。理由は4つあります〔1〕〔2〕。
- ほかの成分も数字に混ざる。 イソα酸以外の成分も、測定値に入ります。
- 時間で変わる。 保存中にイソα酸が減るので、古くなったビールは、元の数字ほど苦く感じにくくなります。
- 麦芽が苦味を覆う。 麦芽の甘さや、焙煎の香ばしさが強いと、同じIBUでも、苦味がやわらいで感じられます。
- 香りは数字に入らない。 ホップの香りの成分は、IBUに含まれません。
つまり、IBUは「苦味成分の量の目安」であって、「あなたが感じる苦さ」の保証ではありません。同じ60でも、飲み口が違うことは、よくあります。
4. スタイル名:ビールの「型」
スタイルは、色、香り、味、度数、苦味などの特徴で、ビールをグループ分けしたものです。アメリカのBJCP(ビア・ジャッジ・サーティフィケーション・プログラム)は、ビールの審査員を認定する団体で、そのスタイルのガイドラインは、世界のホームブルワーの審査会などで、よく参照されます。ガイドラインには、スタイルごとに、度数とIBUの範囲が載っています。いくつか挙げます。
| スタイル | ABV | IBU | 一言 |
|---|---|---|---|
| ヴァイツェン(Weissbier)〔3〕 | 4.3〜5.6% | 8〜15 | 小麦の白いビール。苦味は控えめ |
| ケルシュ(Kölsch)〔4〕 | 4.4〜5.2% | 18〜30 | 淡く、すっきりした飲み口 |
| アメリカンIPA〔5〕 | 5.5〜7.5% | 40〜70 | ホップの香りと苦味がはっきり |
※ケルシュの数字は、BJCPの2015年版のガイドラインにもとづきます。ほかは2021年版です。
同じ「IPA」でも、近年は、苦味が控えめなヘイジー系があります。スタイル名は「だいたいの見当」をつけるための道具で、すべてのビールが、この範囲に収まるわけではありません。IPAの変遷は、IPAの成り立ちをどうぞ。
5. 実際に選ぶときの、3つの読み方
- まず、スタイル名で見当をつける。 ヴァイツェンやケルシュは軽め、IPAは香りと苦味が強め、というように。
- 次に、ABVで、量の見当をつける。 度数が高いと、少しの量でも、お酒としては強くなります。
- IBUは、「目安」として、1つだけで決めない。 気になるときは、お店の人に「苦いのが苦手」と、そのまま伝えるのが確実です。
まとめ
ABVは、アルコールの強さ。IBUは、苦味成分の量で、感じる苦さそのものではない。スタイル名は、ビールの型。この3つを知っておくと、メニューの見え方が、少し変わります。次の記事では、「苦いのが苦手」な方が、クラフトビールを選ぶ方法を、もう少し詳しく書きます。
お酒は20歳になってから。20歳未満の飲酒や、飲酒運転は、法律で禁止されています。
参考文献(5件・押すと開きます)
- Beer & Brewing, Dictionary: bitterness units. https://beerandbrewing.com/dictionary/VDyprkuB8N
- Brew Your Own, Behind the IBU. https://byo.com/articles/behind-the-ibu-advanced-brewing/
- BJCP 2021 Beer Style Guidelines, 10A. Weissbier. https://styles.bjcp.org/bjcp-2021-beer/10/10a-weissbier
- BJCP 2015 Beer Style Guidelines, 5B. Kölsch(2015年版の一覧にもとづく要約)。 https://scottjanish.com/bjcp-2015-style-guidelines/
- BJCP 2021 Beer Style Guidelines, 21A. American IPA. https://styles.bjcp.org/bjcp-2021-beer/21/21a-american-ipa